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高次脳機能障害-当事者の著書を読む-

更新日:2021年11月9日


本書は、貧困問題など社会問題について現場を中心に取材を行うルポライターとして活動されている方が脳梗塞に襲われ、高次脳機能障害となり、患者の視点からなぜ脳梗塞になったのか、リハビリの過程や高次脳機能障害となった当事者がどのように感じているのかが書き綴られています。


著者は脳梗塞を発症した原因として「生活習慣病というよりは性格習慣病」と表現しており、すべてを一人で背負い込み、妥協が苦手でワーカーホリックである性格が脳梗塞に倒れた原因であると分析されています。実際のリハビリの中で退院後の再発防止のため以前の生活習慣の見直しを行う場面がありますが、その生活習慣の裏にはこのような性格による影響が含まれていることを気づかされました。


見た目には分かりづらい高次脳機能障害の症状について詳細に書かれおり、その症状は発達障害やアスペルガー症候群と言われる人々の症状と似ていることを著者は指摘しています。今までルポライターとしてそうした子供たちを取材してきた経験から、当事者となって初めて子供たちの心情や行動の意味を理解した場面があり、自分にとっても新たな気づきになりました。


高次脳機能障害の当事者だからこそ伝えられる表現が時にコミカルにも書かれていますが、同時に本人がこの突然の障害にいかに必死で戦ってきたかが伝わってきて、自分の知識や想像が足りていなかったと強く反省し、改めて勉強し新たな考えをもつ良い機会となりました。高次脳機能障害を支援する立場の人のみでなく、様々な方に読んでいただきたいと思いました。



 
 
 

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