高次脳機能障害-当事者の著書を読む‐
- 北北高次脳普及支援
- 2021年8月31日
- 読了時間: 2分
マンガ家が描いた失語症体験記-高次脳機能障害の世界- 福元のぼる・福元はな 著

本書は、フリーのイラストレーターの方が脳梗塞により失語症を含めた高次脳機能障害を抱え、直面した日常生活の不自由さについて描いたイラストや漫画が中心となっています。
特に印象に残ったイラストは、患者様が断崖絶壁の小さな孤島に一人残され、「失語症」の大波に怯えながら離れた陸の「社会」と隔絶しているイラストです。
他のページにも他者と関わることが難しくなってしまった辛さや不安について何度も描かれています。
失語症のある患者さまは、退院後に家に籠りがちになってしまうというお話をよく伺います。しかし退院後の生活でどのようなことに困るのか、どうして籠りがちになってしまうのか、想像が足りていなかったと痛感させられました。
失語症のある患者さまが社会と結び付くために、回復期の言語聴覚士として機能回復は勿論、患者さまがもっと伝えたい、伝えるのが怖くない、と思えるよう訓練をすすめていかねばならないと思いました。
同時に、失語症のある患者さまへの理解者を増やすことが、何より患者さまの感じる社会との隔絶を少しでも減らすことができるのではないかと思います。本書は失語症のある患者さまの想いが絵や漫画で分かりやすくまとめられています。言語聴覚士だけではなく、様々な方に読んでいただきたいと思います。
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