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高次脳機能障害-当事者の著書を読む

「まさか、この私が」脳卒中からの生還 関啓子

 本書は以前紹介させて頂いた「話せないと言えるまで」を書いた著者、関啓子さんが執筆したものです。当事者の立場から書いた一冊を別のスタッフが読んだのでご紹介させて頂きます。


 脳卒中のリハビリの専門家が、自らも脳卒中を発症し後遺症のリハビリに邁進する様子が描かれています。専門家として冷静に状況を受け止め自身の心と身体を分析しながらリハビリに取り組む姿勢はプロの凄味を感じました。

 その一方、患者当事者として商業施設やバスの中など公共の場において、他者の視線や態度に深く傷ついた様子もつづられており、人は他者との関わりの中で受ける影響がいかに大きく、人から理解を得られないということは、専門家であっても変わらず大きな苦痛となることなのだと感じました。

 様々な弊害のある中で果敢にリハビリに取り組み続け、実際に回復を遂げていく姿は、同じく障害を抱えた方々や支える側の人にとっても心強い後押しとなるように思います。同時に、障害者雇用などで障害者の社会参加が積極的に促進されていても、実際に一般社会の中での障害者へ対する視線・態度はまだまだ風当たりが強いものがあるのだ、という一つの現実の訴えでもあるように感じました。

 
 
 

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