読書レビュー 「リハビリテーション」砂原茂一著
- 北北高次脳普及支援
- 2020年11月28日
- 読了時間: 3分
今回から、今年読んだ本のご紹介をしていきたいと思います。
砂原茂一先生が1980年に執筆された「リハビリテーション」(岩波新書)という新書です。 上司の先生から、「リハビリを勉強するならまず読みなさい」と言われ、購入しました。(なかなか読めていませんでしたが最近ようやく読めました)
この本は40年前に書かれているにも関わらず、現在のリハビリテーションの基本的な概念は全く変わっていないように思いました。理学療法、作業療法、言語療法、義肢・装具術(!)を基本とし、精神障害者への作業療法や内部障害へのリハビリテーションについても触れられています。
ちなみに、砂原茂一先生はリハビリ科医ではなくもともと呼吸器内科医です。どれだけ幅が広い医師だったのでしょう。。
そして、砂原先生は私が勤務している国立病院機構東京病院の元院長先生(当時は国立療養所東京病院)でもあり、日本最初の療法士を育成する学校(国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院)を清瀬に設立した際にご尽力された先生でもあります。
本のレビューに入ります。
面白いと思ったポイント ・医学的リハビリテーション:すべての病気、臨床医学の各専門分野にかかわる ・リハビリテーション医学:主として運動機能障害にかかわる つまり、「医学的リハビリテーション」をやるなら運動器や神経の問題だけでなく眼科や耳鼻科領域も含めあらゆる臨床医学の分野とリハビリをつなげよう、とのことです。 確かに視覚障害の患者さんもリハビリを受けていますが、視覚障害を代償するリハビリができる施設は少ないのが現状です。どうしても「リハビリ=運動器(骨折など)+神経系(脳卒中など)」というイメージが私たちリハビリ関係者にも根強い(確かにこれらは圧倒的に患者さんの数も多いです)ですが、本当はリハビリテーションというのはもっともっと広いものなんだな、と理解しました。
名フレーズ① 「本来リハビリテーションというのは、患者の病気の進行を押し止めたり苦痛をなくしたりしただけでは医療の目的を達することはできない、という認識から出発している。病気は治ったがベッドの上で寝たきりのままでは仕方がない。」(P139) 私たちリハビリ科の矜恃、といえる一文だと思います。病気になった後も、身体がどうであれ生きていれば基本的にはそこに生活があります。その生活ができるだけ豊かなものにできることがリハビリ科の努めでありやりがい、だと思います。
名フレーズ② 「障害者や慢性の病気に苦しむ人は身体的な苦痛そのものに悩んでいるだけではなく、障害・病気を持っているために複雑で屈折した心理を持てあましている場合が多い。」(P143) 臨床心理士もリハビリテーション・チームの一員だと書かれています。実際に日々の臨床で、障害を受容しきれず悩んでいる患者さんにたくさん出会います。病棟で看護師に、あるいはリハビリの時間に療法士に障害への葛藤について話す方も多く、看護師や療法士が患者さんの身体に触れ接していくことが受容を促す効果もあるように思えますが、可能なら臨床心理士さんがいてくださるといいな、といつも思います。
以上、アツく語ってしまいました。。リハビリをどんな意味で、どんな思いでやっているかが一般の方に少しでも伝わると嬉しいです。 最後までお読みいただきありがとうございました。

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