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病院はチームで動く 〜「医者と病院をうまく使い倒す34の心得」を読んで〜

外科医けいゆう(@keiyou30)こと山本健人先生の新しい著書、「医者と病院をうまく使い倒す34の心得」を読みました。 そこで今日は、その中からリハビリテーション科医として特に気になった1つのトピックをご紹介したいと思います。

それは、「担当の医者が若い方なんですが、大丈夫でしょうか?経験の浅い医者だと不安なので、ベテランの医者に替わってもらいたいのですが・・・」(P210)という項です。 この問いかけに対するけいゆう先生の答えは「病院はチームで動く」というものです。 ここでは医師ひとりの意見で患者さんを診療しているのではなく、医師が集まってカンファレンスや回診を重ね、複数の医師の目でチェックをして診療を行っている、という内容が書かれています。 私の病院でもリハビリ科の医師全員で集まり毎週カンファレンスや回診を行っています。

リハビリテーション科(入院)の場合、ひとりの患者さんには担当医(リハビリテーション科医)、担当理学療法士、担当作業療法士、担当言語聴覚士、担当看護師がいます。 これらの患者さんを担当する「担当者チーム」で日々話し合いながら、患者さんの変化や新しく得た情報を共有しています。 さらに、各職種にはけいゆう先生が紹介していることと同様に、同職種の「チーム」があります。 リハビリ科医が集まって行うカンファレンス、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師のそれぞれの職種でも患者さん一人一人についてカンファレンス・情報伝達が行われています。 特に土日もリハビリがある回復期病棟の場合、療法士は担当者以外がリハビリを代行する日もあり、担当者から代行者へきちんと情報を共有することが求められています。看護師もまた然りです。 療法士の数は近年急速に増えているため、経験の浅い療法士が患者さんを担当する場合もありますが、彼らはより経験のある上司(療法士)に常にリハビリの内容や方針をチェックされています。また療法士よりも経験年数の長い医師や看護師とチームを組むことで、医師や看護師からも指導が入ることがあります。

したがって、「若い(経験年数が短い)医療職は頼りない」、と決めつけるのは早いかなと思います。 また、このことについて、けいゆう先生が書かれている部分を引用します。

・経験が浅くても自分の力量をわかっている医療者は適切なタイミングで他の医療者に頼る。→積極的に他者のアドバイスを受けいれ、多くの医療者のバランスが取れた方針が選ばれやすい。 ・経験が浅く貪欲に知識を得ようとする若手は、自然と新しい情報をキャッチし、これを日常の診療に生かしやすい。

まとめると、 ・担当者の経験年数の多寡だけで判断するのではなく、その背後には多くの医療者の目が光っていること ・経験年数の浅いものにも優れている可能性があること にも思いをはせていただけると、嬉しいです。

また、私も経験年数の浅いリハビリテーション科医ですが、上に書いたことを自戒として努めていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。



 
 
 

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