文化心理学的アプローチ 注意機能の指向性
- 北北高次脳普及支援
- 2021年9月16日
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今回は、京都大学で「心のデザイン」というテーマで開催されたシンポジウムのうち、増田貴彦准教授の講演を紹介します。増田貴彦准教授はカナダのアルバータ大学心理学部の准教授で、心理学、特に文化心理学について研究を進められている方です。この講演では、文化の違いによって、個人の注意機能の指向が異なる可能性が語られています。
なお、この講演はネット上で見ることができます。ご興味のある方は以下のURLをご参照ください。
文化心理学とは、こころを取り巻く文化的環境を捉える学問、文化とこころの相互構築プロセスについての学問になります。具体的には、文化が人々のこころの仕組みに影響を及ぼす過程を研究したり、その文化に生きる人々が文化を作っていく過程を研究したりする学問です。文化によってこころの様式が異なるなら、注意機能の指向性にも影響がある可能性が考えられます。そういった視点から注意機能の指向性について、様々な研究がなされています。研究結果から、東南アジア文化圏の人々は非常にコンテクスト指向の注意機能を持っていて、欧米圏の人々はオブジェクト指向の注意機能を持っていることが示唆されたとのことでした。
注意機能の指向がその人を取り巻く文化圏で変わってくる可能性があるというのはとても興味深い内容でした。高次脳機能障害について、神経科学的な視点、評価内容のみで捉えるのではなく、その方の生活歴、心理、精神面、その方を取り巻く環境、ひいてはその方の所属する文化まで広い視点で考えていく必要があることを感じました。
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